web会議 システムの新たな展開

核だけによる体外受精ではこれらの現象が起きないので、受精のときの条件をいろいろ工夫する必要があるのですが、どうするとベストコンディションといえるのか、まだわからないのです」。
受精卵が子宮に着床するメカニズムも解明しきれていないため、子宮に移入するときの条件も明らかになったとはいえない。 そもそもスペルマティドの核による受精卵と精子による受精卵では、どのくらい着床などの能力や機能に違いがあるのかも、まだまだわかってはいない。
したがってというべきか、この臨床研究では結局、すべての妊婦が流産に終わってしまった。 「でも、『精子になる前の細胞核でも立派に授精能力も着床能力もある』ことが証明できたので、研究実験の価値は十分あったといえます」とS氏は強調する。
卵子と精子が合体して受精すれば、普通細胞の半分しかなかった染色体DNAが本来の2倍体となって、ヒトを作るための遺伝子セットとして働き出す、というのは生物学の教科書の教えるところだ。 これを臨床技術として実証できた意味は大きいというのである。
しかし、このS氏のグループによる臨床研究がきっかけとなって、日本国内でも同様の″精子になる前の細胞″を使った体外受精が続いている。 半年後の95年7月には、北九州市と広島市の開業医が、やはり精子細胞の核を取り出して卵子の細胞質に入れる方法を臨床応用していることを発表した。
続いて翌8月にも、「栃木県にあるクリニックが、精子になる直前の精子細胞を卵子に顕微受精する方法を23人に実施、3人が妊娠中であることがわかった」という新聞報道があった。 卵子DNAと精子DNAが合体すれば普通細胞のDNAになるという、基本となる受精メカニズムがわかっているのだから、早晩、この不妊治療は実用化するに違いない。
受精卵で複数のクローン胎児体外受精で受精卵が1つできたら、これをもとに双児(どころか4つ児でも)を産みたいとか、一定の時間をおいて子宮に移入することで兄弟・姉妹として出産したい。 そんな要望にも応える技術のメドがつきつつある。

「生殖科学の研究者が実験で、1つのヒト受精卵を分離して双児または3つ児とした。 公表されたものとしては初めての業績である」とアメリカのニューヨーク・タイムズ紙が報じたのは93年10月25日であった。
実験を行ったのは、ジョージ・ワシントン大学医療センターの生殖医療研究者であるH・J博士で、アメリカ生殖学会で実験の内容と結果を報告している。

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